【ガンホー】『黒川塾 参』ガンホー・ナイトレポート

2012年10月12日(金)メディアコンテンツ研究家である黒川文雄氏が進行ナビゲーターを務めるエンタテインメントの未来を考える会”黒川塾(参)」が開催された。

第3回となる今回は、『ラグナロクオンライン』や『エミルクロニクルオンライン』を始めとしたPCオンラインゲーム、また『パズル&ドラゴンズ』を始めとしたアプリの提供などを行う、ガンホーオンラインエンターテイメントの森下一喜代表取締役社長などをゲストに迎え「ガンホーナイト」として実施された。

■面白いものを追求するガンホー・オンライン・エンターテイメントのスタイル

『ラグナロク』というタイトルが成功した事によって急成長を遂げたガンホー。
しかし、成長と共に人も増え上場企業として利益を上げる事、「予算」や「期間」「売上」を考えなければならなくなるほどにいわゆる駄作というものが目立ってくるようになったと森下氏は語った。

上場企業の経営者として「予算」や「期間」「売上」などを見て事業計画に沿って実行していくという事はある意味「あたりまえ」のことだが、森下氏は”より完成度の高く良いものを作る”ために監修からリリースするまで責任をもって自分でやろうと決意し、納得の行くまで、時には1.2ヶ月をブラッシュアップに当てるという。

森下氏は「経営会議を飛ばして企画会議を優先することもしばしば」と冗談交じりに語ったが、こういった「面白さを追求する」といった森下氏のスタイルが『パズル&ドラゴンズ(以下パズドラ)』を始めとする名作を生み出す土壌になっていると感じさせられた。

多くの人が楽しんでいる大ヒットアプリ『パズドラ』の誕生についても、元々カードゲームを得意としていた山本氏と共に”今までに無いカードバトルゲームを作ろう”という「作りたいものを勢いとノリで作る」というスタイルで始まったとの事だ。

山本氏は「KPIやマネタイズを中心に考えてしまうと、仕組みの上でしか企画を考えられなくなってしまいます。コンシューマーの発想に近い”面白いこと”があってそれを形にしていくというスタンスで作りきれたことが『パズドラ』では出来た事が良かったと思っています。」

「こういったスタイルでゲームを作れることはクリエイターにとっては非常に良い環境だと思っています。だからこそ良いタイトルを産み出すことができるんだと思います。」と語り「面白さを追求する」事の重要性を感じさせた。

現在、ガンホーオンラインエンターテインメントの顧問を勤める、旧スクウェアの創業メンバーの一人であり『ファイナルファンタジー』のゲーム設計を手がけたクリエイター田中氏も「ガンホーという会社は10年間のオンラインの蓄積を持ち、何でも出来る会社だと思っているので、オンラインであることの特性を活かした今までに無いオンラインを作れるように企画していきたい。」とガンホーという会社への期待感を表した。

今回実施された「黒川塾 参」では、オンラインやソーシャル、コンシューマーなど様々なプラットフォームのゲームについてや、ガンホーが参加した「浅草サンバカーニバル」の裏話などガンホーという会社のエンターテイメントへの情熱が端々に感じられるトークが多くの笑いと共に繰り広げられた。

黒川氏が最後に「本当のエンターテインメントに必要なのは何が楽しくて、お客さんに何をどう伝え、その付加価値をどう高めるかだと思う。理想論かもしれないが、ゲームをどう作るべきかをもう一度考えさせられた」と語ったように、森下氏、ガンホーオンラインエンターテイメントのようなスタイルが本来あるべき姿なのではないかと改めて考えさせられる会となった。

『パズル&ドラゴンズ』を超えるタイトルをという森下氏の発言があったが、田中氏の新たな新ゲームと共に今後のガンホーオンラインエンターテイメントの挑戦に期待したい。

○森下一喜(もりしたかずき)
ガンホーオンラインエンターテイメント株式会社
代表取締役社長CEO兼企画開発部門統括エグゼクティブプロデューサー
兼(株)ゲームアーツ 代表取締役社長
兼(株)アクワイア 取締役
兼(株)グラヴィティ 理事

○山本大介(やまもとだいすけ)
ガンホーオンラインエンターテイメント執行役員
第1企画開発本部パズドラスタジオプロデューサー

○田中弘道(たなかひろみち)
ガンホーオンラインエンターテイメント顧問
ゲームプロデューサー

○飯田和敏(いいだかずとし)
ゲームクリエイター

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